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今年の格闘ゲーム業界及びeスポーツ業界の覇権コンテンツとなるであろうストリートファイター6(以下スト6)が遂に発売となり、筆者も早速仕事終わりにトレーニングモードに籠もって練習に明け暮れている。

ストリートファイターシリーズといえば、前作5の終盤辺りからデバイスゲーの様相を呈しており、レバーレスコントローラーとのシステム的な相性の良さからアーケードスティックからレバーレスコントローラーへ移行する人が多かった。

筆者もレバーレスコントローラーを使っていたのだが、最近は旧作格闘ゲームをプレイする事が多いのでもっぱらアーケードスティックばかりを使っている。

スト6を機にパッド移行

さて、そんな中発売されたスト6なのだが、スト6はある程度遊んだ筆者が思うに、パッドかレバーレスコントローラーのどちらかでプレイするゲームだと感じた。

理由はいくつかあるが、決定打となったのがスト6の象徴的なシステムであるドライブラッシュのやり易さとドライブインパクト対処のやり易さの2点だ。

ドライブラッシュのやり易さ

筆者がブログのデザインやコーディングを行っている格闘ゲーマーの冷血さんのサイト、Reiketsu.netで冷血さんが解説しておられる通り、スト6はドライブラッシュ及びパリィからのドライブラッシュ(パリィラッシュ)が通常のアーケードコントローラーでは入力する事が難しい。

一部上記記事より抜粋して記載すると、ドライブラッシュは入力の仕様的に”の入力の前にニュートラルを経由”しなければならない。

これがキャンセルドライブラッシュやパリィドライブラッシュが入力し難い理由なのだが、この部分がニュートラル経由がし易いレバーレスや同時押しボタン(パリィボタン)が1ボタン設定出来るパッドに筆者が強みを感じた部分になる。

ドライブインパクト対処のやり易さ

これも上記ドライブラッシュのやり易さと前後した話になるが、スト6は相手のドライブインパクトを見てからこちらのドライブインパクトを合わせたり、ドライブインパクト確定状況で咄嗟にドライブインパクトを使うというシーンが結構ある。

アーケードスティックでは強パンチと強キック同時押しを咄嗟に入力するのは配置的に大変なので、これが1ボタン設定出来、反応の早い人差し指で押す事も出来る(L・Rボタンに設定)という部分にパッドの強みを感じた。

ファイティングコマンダーOCTA購入

上記理由からスト6では心機一転パッドに移行しようと思い立ち、早速HORIのファイティングコマンダーOCTA(以下オクタ)を購入してコンボトライアルを中心に使ってメモをまとめてきた。

今回の記事はこのオクタのストリートファイター6における使用感を記事にまとめていきたいと思う。

優秀な点

十字キーの使い易さ

格闘ゲーム用ゲームパッドを選ぶ1つの基準として、十字キーの使い易さは外す事の出来ない部分だが、オクタの十字キーは親指にフィットする形状で安いパッド特有の斜め抜けも無く非常に使い易い。

公式の専用マネージャーアプリで十字キー感度の設定も細かく出来、プレイヤーの入力の癖をフォローし易い作りになっている。

筆者はこれまでもHORIのゲームパッドは購入・使用してきたが、十字キーに関してはこれまでのHORIのノウハウを反映・格闘ゲームに特化した素晴らしい十字キーだと思う。

専用マネージャーアプリで感度調節も可能な十字キー。

デフォルトではバランスモードになっているが、筆者は上方向の感度を若干落とした設定がしっくり来たのでこれを使っている。

アナログスティックの八角ガイド

筆者はパッドで格闘ゲームをするなら十字キー以外の選択肢は無いと思っており、アナログスティックでの繊細なコマンド入力は構造的に無理だと思っているのもあって格闘ゲームではまず使わない。

今回のオクタも最初アナログスティックは全く使わなかったのだが、レビュー用のテストでアナログスティックのみでトライアルをプレイしてみた所、通常のアナログスティックよりもストロークが浅くクイックかつクリック感の強い、操作性の非常に高い使い易いもので驚いた。

ザンギエフのトライアルではレバー入れ通常技からの一回転コマンドといった入力もスムーズ。

スト6は方向+攻撃ボタンや、方向+攻撃ボタンといったレバー入力特殊技が多いゲームなので、自分が入力している方向が感覚的にわかり易い、ある程度のクリック感や重さが重要になるのだが、このアナログスティックはこの点をしっかりクリアしている。

格闘ゲーム特化を謳っているだけあって、通常のパッドのアナログスティックと比較するとコマンドの正確性や入れ易さは比較にならない。

問題点

スト6のUIとの配置相性の悪さ

メモを取りながらオクタでクラシックのコンボトライアルを数キャラクリアしている時に痛感したのだが、オクタは形状・デフォルトキー設定的にスト6のトレーニングモードのお手本再生やコマンドリスト確認のショートカットコマンド(R3+等)が暴発し易い。

特に方向の溜め技を用いたコンボの多いホンダでは上記の暴発がかなりあった。

左側上部の通常のパッドだとL1・L2に該当するボタンがオクタはL3・R3とそれぞれアナログスティックの押し込みボタンに対応しているという設計的な原因があるのだが、この仕様が後述するアナログスティックの問題にも影響してくる。

ちなみに、この暴発問題はスト6側でショートカットメニューのボタンを変更したりする事も出来ない・空きボタンが無いという本体設計も災いして、現状はR3やL3をアプリで非設定にするしか対応策が無い。

アナログスティック押し込みボタンが上部にある

見出しだけ見ると何を言っているのかわからないと思うが、これも上記問題と同様オクタの設計的な問題である。

オクタはアナログスティックが左側のみでスティックには押し込みボタン(L3ボタン)も搭載されているのだが、このL3ボタンが左側上部にも存在している。

赤枠の上部ボタンがアナログスティックの押し込みボタン(L3ボタン)となっている。

これがどういう事かといえば、例えば左側上部のボタンにドライブインパクト(強パンチ+強キック)を設定した場合、アナログスティックを操作中に力んでアナログスティックを押し込んでしまうとドライブインパクトが出てしまうという事になる。

こういった仕様上、アナログスティックを使ってコマンド入力をする場合は、上部L3ボタンの割当を工夫する(非設定推奨)必要が出てきてしまう。

上ではオクタの設計的な問題と述べているが、こういった設計になっている理由はおそらくスト6製造元のCAPCOMが掲げているプロツアー(大会)規約にあると筆者は思う。

規約では、「攻撃行動として使用できる入力系統は最大11個までとする。 ただし同じ攻撃行動を複数の入力系統に割り当てることはできない。 例えば、弱パンチボタンを2つ以上設置することは認められない。」と定められているので、自由にキー設定可能なフリーボタンを設ける事が出来ない。

この問題点は筆者の様に十字キーメインのプレイヤーであれば全く影響は無いが、逆にアナログスティックをメインにしているプレイヤーには頭の痛い問題になるだろう。

折角のボタンを1つ潰す事になるのは残念だが…

オススメの対策としては、アプリでL3をR3に置き換え・本来のR3を未設定にしてしまう方法で、アナログスティックボタンと兼用している仕様上対策はこれしか無い。

十字キーで指が痛くなる

筆者の持ち方が悪い・慣れていないので余計な力がかかっているというのは付け加えるが、オクタは長時間使っていると円盤型の十字キーのエッジが親指の関節に当たって痛くなる。

数時間プレイした後の筆者の親指だが、関節部分が腫れているのがわかるだろうか。

上記の通り筆者の持ち方もあるだろうが、筆者と同様親指の指先ではなく親指の腹でコマンドを入力するタイプの人は十中八九上記の様になって指が痛くなるので注意して欲しい。

オクタが適しているキャラ

ここからはトライアルを中心に何時間か全キャラ触ってみて筆者がオクタ向けだと感じたキャラクターを理由と共に紹介していこうと思う。

ケン

派生攻撃の使い分けや、奮迅脚を絡めたコンボも入力し易い。

ケンはドライブラッシュが強力なので、リーチの長い立強パンチからヒット確認でキャンセルドライブラッシュを仕掛けたり、立弱キックからのキャンセルドライブラッシュ(何とガードさせてフレーム有利)を仕掛けるといったドライブラッシュのクイックな入力もし易いオクタと非常に相性が良い。

6ボタンパッドという特性上、奮迅脚のキックボタン同時押しが指1本だけで行えるというのも使い易いポイント。

ザンギエフ

一回転コマンドがメインという事で、オクタのアナログスティックとの相性は抜群。

ザンギエフはパリィラッシュからのスクリューパイルドライバーや、パニッシュカウンターから通常技で拾ってドライブラッシュキャンセル後に空中一回転コマンドのボルシチダイナマイトを決めるといった入力がし易い。

オクタの十字キー感度調整機能の恩恵も大きく、スト6では同時押しアシストボタンもあるのでパンチやキックの3つ同時押しボタンを1つにまとめる事も出来る。

八角ガイドのアナログスティックでも非常に快適に動かせるので、入力はアナログスティックオンリーという人には特にオススメのキャラクターだ。

総括

オクタは純粋な格闘ゲーム用のゲームパッドとしてはクラシック・モダンどちらのプレイヤーにもオススメ出来る。

細かい問題を挙げれば上記以外にも例えばワールドツアーモード(アバター操作)における入力のしにくさ(特にマスターアクション絡み)や、6ボタンパッドという特性上普通の4ボタンパッドの決定・キャンセルボタンの配置がズレている点も使いにくさを感じる。

後これはオクタを買った人あるあるだと思うが、Steam版スト6ではボタン表記もXBOX基準になっている(決定とキャンセルボタンが逆)ので、ボタン数が増えた事によるホームポジションの変更からキャンセルしようとして決定してしまったりといった事が慣れるまで結構ある。

総括すると、スト6に限って言えば純粋に対戦をする分には性能的にもコスパ的にもかなり良いパッドといえるが、ワールドツアーモードやトレーニングモードといった純粋な対戦以外の部分で使いにくさを感じてしまうといった感じだろうか。

今回の記事で気になった人は是非購入して使ってみて欲しい。