このページ内リンクにはアフィリエイト広告を含みます

ここの所数年ぶりにDAW(Digital Audio Workstation)熱が再燃し、夜な夜なPCでテクノ系の曲作りを楽しんでいる筆者。

筆者は20数年前、丁度クラブミュージックのハウスから派生したトランスといったクラブ・ダンスミュージックが大流行した頃(パラパラやユーロビートの流行はその少し後)に第一次のテクノ沼にハマる。

当時映像編集(VJ)的な業務(今もやっているが)を行っていたのだが、その流れで最初は映像作成だけだったのが次第に音作りの方にも興味が出てきたのだ。

当時使用していたAfterEffectsとPremier等がセットになったパッケージ。デカい。

流石に本職の人の様にシンセサイザーやリズムマシンやサンプラーといった専用機材を用意する事は金銭的に負担が大きかったのだが、とりあえず自分のPCにDAWソフトウェアをインストールしてテクノが作れる環境を整備、テクノサウンドを打ち込んで楽しんでいた思い出がある。

そして時は流れ…

筆者は上記の通りPCにDAWソフトウェアを入れて曲作りを楽しんでいたのだが、その後はマイブームも去って曲を作ったりする事もすっかりなくなり、環境のアップデートをするのみとなった。

それがここ最近の大規模案件連発の中、本当に急に数十年ぶりのテクノサウンド・DTM(Desktop Music)ブーム再来となった訳だ。

思いっきり省略するが、ある日突然無性に打ち込みがしたくなり、その時に何故か「鍵盤やドラムは直感的に叩きたい」という一端のミュージシャンの様な気持ちになり、そのまま気が付いた時にはMIDIキーボードを衝動買いしていたというのが今回の顛末になる。

届いてから一通り遊んで性能をチェックしたので、今回も他デバイスレビューと同様に筆者の独断で良い点と悪い点それぞれを記載したレビュー記事を書きたいと思う。

良い点

  • コンパクトにしっかりまとまっている
  • ベロシティ対応ドラムパッド
  • フルサイズのロータリーノブとジョイスティック

コンパクトにしっかりまとまっている

コンパクトながら機能面は充実・重量も750gと軽量となっている。

鍵盤は非重量鍵盤なのでピアノの様な本格的な演奏感はない・価格帯的に期待はしていなかったのだが、鍵盤だけの評価をいえば5段階評価で2.8といった所だろうか。

Akai Professional MIDIキーボード MPK mini MK3

よくも悪くも普通(中の下)といった感じ。

気になったのは鍵盤を押して戻す時に隣の鍵盤との間で若干の引っかかりがあるのと、鍵盤のベロシティ調整がシビアで使いにくかった2点。

ただ、筆者はこの鍵盤でしっかり演奏するというより、ループ用のショートメロディーを演奏・打ち込みを直感的にする事が目的なので、この点は価格帯やコンセプトで考えたらこんなものだろうなと思う。

本格的に両手で演奏を考えるなら他のキーボードをお勧めする

そもそもコンセプト的にも鍵盤数的に両手でしっかり弾くキーボードではないので、MPK mini MK3はこれだけの機能をしっかりコンパクトにまとめているという部分を評価すべきだろう。

ベロシティカーブ設定可能

ベロシティカーブの設定も可能で、FULL LEVELを長押しして液晶が切り替わったらノブ2をひねって写真赤枠部分のV2:06.0の数値を調整する。

ベロシティカーブ調整

好みや強さもあると思うので、12辺りの近似値で確認しながら調整する。

ちなみに筆者のベロシティカーブの設定値は写真の通り16に設定している。

ベロシティ対応ドラムパッド

筆者的にこのMPK mini MK3の目玉はキーボード上部のベロシティ対応・バックライト搭載のドラムパッドだ。

ドラムパッド

打感は固め。この点は好みだろうが、筆者は叩き易いと感じた。光ってかっこいい。

このドラムパッドがよく出来ていて、ベロシティ固定機能もボタン一つ(FULL LEVEL)で設定可能だったり、特定ドラムサウンドノートをリピート出来るNOTE REPEATボタンもしっかり搭載されている。

ロータリーノブとジョイスティック

フルサイズのロータリーノブの使用感も良く、従来の上限付きノブと違ってロータリーノブはグルグルと際限なく回転させる事が出来る。

ロータリーのブ

サイズも大きいのでグリップ性も高い。

特にテクノでは微調整等で多用する事になるので、よりこのロータリーノブの使い易さを感じる事が出来た。ノブ上部の小型液晶でパラメーター確認もし易い。

ジョイスティックも直感的に操作が可能

ロータリーノブの反対側のジョイスティックではピッチベンド(上下)・モジュレーションコントロール(左右)が可能で、更にアルペジエータも搭載されている。

ジョイスティック

ロータリーノブ同様、操作は直感的。

ピッチベンドは音程、モジュレーションはビブラートの調整なのだが、ジョイスティックは斜めに入れると音程調整しながらビブラートをかけるといった事も出来る。

コンパクトに機能をぎゅっと詰め込んだ上部パネル

アルペジエータに関しては一連の音符からアルペジオ(コードを音符の列に分解したもの)を作り出すためのものだが、こちらもON/OFFのボタンを押しながら鍵盤を押さえるとアルペジオの各パラメーターを変更出来る直感的な操作性。

ノブやジョイスティック周りはすぐに慣れて使いこなせるように工夫された設計になっている。

人によってはピッチホイール・モジュレーションホイールの方がいいという人もいると思うが、筆者はリミックス等で直感的に扱えるジョイスティックの方が好みだ。

そもそもコンパクトな設計にしようと思えば、コスト面等も鑑みて省スペースなジョイスティックになるだろうなとも思う。

悪い点

  • ロータリーノブのバンクの切り替えが無い
  • 付属ソフトの使いにくさ

ロータリーノブのバンクの切り替えが無い

大体こういったMIDIキーボードというのはいくつかのバンクにまたがる複数のアサインを切り替える事が出来る。

しかしMPK mini Mk3はドラムパッドのバンク(AとB)しか無いので、ロータリーノブのアサインをバンク経由で切り替えるという事が出来ない。

付属ソフトの使いにくさ

MPK mini Mk3にはMPC BeatsというDAWとソフトシンセ6つ(ベースやポリシンセ等)、更に膨大なサウンドコンテンツが付属している。

内容だけで言えばメチャクチャ豪華な内容で、これが1万そこらのMIDIキーボードに付属するのはかなりの太っ腹だとは思う。

DAWが付いてくるという事で、PCとMPK mini Mk3があれば(DAWインストール後)すぐに楽曲制作が楽しめる。別途DAWソフトウェアを購入する必要も無いと至れり尽くせりだ。

そう思っていた時期が俺にもありました。

インストールまでの作業が面倒

DAW等付属ソフトのインストールには登録作業等が必要になるのだが、これが非常に面倒くさい。

Akai Pro MPK miniおよびMPK mini Play|付属ソフトウェアのダウンロード、インストール、セットアップ方法(Akai)

更にセットアップが終わっても苦労はここで終わらない。苦労してインストールしたDAWのMPC Beats自体が癖が強く非常に使いにくいのだ。

勿論この部分は人によるとは思う。今までどのDAWソフトウェアを使用してきたか?もあるだろうし、DTMの経験年数がどれくらいか?にもよるだろう。

その上で言うが、悪い事は言わないので他の有料DAWソフトウェアを体験版で吟味後に購入した方がいい。

筆者も愛用しているFL STUDIOは特にお勧めだ。

お勧めのDAW、FL STUDIO

FL STUDIOを購入する際はグレードが複数あるが、お勧めは実質的な最高グレードのSignature(その上にもSignatureのプラグイン全部入り版のAll Plugins Bundleがある)か、その下の基本グレードのProducerが良いだろう。筆者はSignature一択でもいいと思っている。

FL STUDIOの場合はエントリーグレードのFruityでもエフェクトプラグインは割と良い物が標準で入っているので、安いFruityを買ってその都度必要なプラグインを買い足していくという人も多いのだが、これは実は悪手中の悪手だ。

Fruityグレードの購入はお勧めしない

Fruityはそもそもがオーディオクリップ・オーディオ録音に対応していないので、基本的にリードやドラム等を全て打ち込まなければならない。

FL Studio

赤枠の通りFruityはオーディオ録音(クリップ)に対応していない。

オーディオクリップを組み合わせれば初心者でも直感的かつ簡単に作曲が出来るFL STUDIOの魅力をみすみす1つ潰している訳で、初心者用のエントリーグレードを購入したのにやっている事は上級者と同じでは元も子もない。

DAWソフトウェアの価値はプラグインで決まるので、購入前に自分が使用したいプラグインが幾らであるか・どのエディションにどのプラグインや機能があるのかは一通りチェックしておきたいし、基本的にDAWの購入はプラグインの充実した最高グレード一択(どの道プラグインを買う羽目になる)だと思った方が良いだろう。

オマケのシンセはDAWを選ばず使用可能

ちなみにMPK mini Mk3の購入特典である上記のシンセ(プラグイン)はFL Studioでも使用出来る。プラグインをスキャンして追加するだけなので追加も簡単だ。

エレキギターシンセ

FL Studioでも使えるので無駄にならない。

総括

若干脱線した感はあるが、MPK mini Mk3はMIDIキーボード単体としてみれば携帯性も高く非常に良いものだと思う。

手軽にDAWソフトウェアで作曲してみたい!という人には価格の安さもあってお勧めできるMIDIキーボードだ。

ただ、購入時に注意したいのが旧モデルのMK2と違ってMK3は音源も電源も持たないという点。

MPK mini Mk3自体が発売後に結構時間経過しているのであまり無いケースだとは思うが、例えば音源の搭載されていたMk2モデルから純粋なバージョンアップ版だと思ってMPK mini Mk3を購入したりするケースも考えられるので記載している。

Mk2が音源搭載しているのだから、後発のMk3が音源を搭載していない訳は無いと仕様確認せず購入しないようにして欲しい。

MPK mini Mk3で演奏するには別途DAWソフトウェアをインストールしたPCが必要になる。