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ゲームセンターのアーケード筐体用の押しボタンやレバー等のパーツでセイミツと双璧をなす三和電子の新作静音レバーのJLX-TPML-8YT-SKを購入したので、早速ファイティングスティックαのレバーを交換して使用してみた。
今回はこのレバーのレビュー記事を書きたいと思う。
JLX-TPML-8YT-SKの特徴
最大の特徴は上下左右4方向のスイッチにそれぞれ動作位置調整用のダイヤルパーツが搭載されている点で、これ以外の作りはスイッチといったパーツを除くと基本的に三和電子の標準レバーと大きな違いは無い。
赤枠で囲んだ黄色いパーツが動作位置調整用のダイヤルパーツだ。
静音仕様となっており、スイッチ内部のバネ棒が無い関係で通常のスティックの様なカチカチという動作音が無く動作音は静かだ。
通常のレバーにおける動作図
このレバーの一番の肝となるのは上記の通り動作位置調整機能になるのだが、パッと動作位置調整と言われても最初は意味やメリット(デメリット)が理解出来ないだろう。
そこで、この説明の為に通常のレバー入力動作の簡単な図を作成してみた。
上記の図では「N」と表記してあるポイントがレバーを全く倒していない(どの方向にも入力していない)ニュートラル状態を表している。
そして、「ON」と表記してあるポイントがレバーを入力した(倒した)際にシャフトがスイッチを押して入力が認識されるポイントとなり、図の一番右側の「L」表記はレバーで方向入力時に倒す事が出来る限界(リミット)を表している。
この「N」から「ON」を経由(入力認識)して「L」までレバーを倒すという基本的な通常レバーの動作仕様をまず覚えておいて欲しい。
JLX-TPML-8YT-SKの場合
続いてJLX-TPML-8YT-SKの位置調整機能の図を見て欲しい。
JLX-TPML-8YT-SKの位置調整機能は、上の図の様に「N」から「L」までの間にある「ON」の位置を各方向(上下左右4方向)全5段階調整出来るというものだ。
位置を調整するとどうなるのか?
上の図の通り「ON」の位置を調整出来るという事は、レバーを入力してから入力認識されるまでの時間を調整出来るという事で、純粋に「N」寄りに調整すると入力が早く・「L」寄りに調整すると入力が遅くなる。
ここまで書くと「全方向を全部限界までN寄りに調整したら、レバーでも最速入力が出来て強いんじゃ?」と思う人も居ると思うが、話はそう単純ではない。
何故かと言えば、レバーのストローク自体は変わらないからだ。
基本的に全てのレバーは「N」から「L」までレバーを倒し、その間に「ON」を経由してスイッチを押す事で入力を認識させ、入力後は手を離して反動で「N」までレバーを戻す過程で「ON」を「OFF」に切り替えるのだが、この流れは当然JLX-TPML-8YT-SKであっても例外ではない。
つまり入力自体は早くなるが、「L」から「N」に戻るまで(ONをOFFにするまで)が通常に比べて遅くなるという事だ。
この受付不可区間中に再度入力を行った場合は認識されないので、上記の最速設定は高速入力を繰り返す事が多いゲームにおいては不向きな設定となる。
例えばストリートファイター6を例に挙げると、モダン入力で咄嗟の昇龍拳(+SP)を使うにはかなり適した設定だが、旧入力のドライブラッシュ(コンボ中のキャンセルドライブラッシュは尚更)の様な連続した高速入力には向かないといった具合だ。
ゲーム次第では入力を遅く設定するのも手
上記の設定とは逆に入力を遅くした場合は「ON」を「OFF」にするまでが早くなり、「N」に戻る前に「ON」が「OFF」となってすぐに再入力を行う事が可能となる。
言うまでも無いが、高速入力に関してはこちらの設定の方が遥かに入力し易い。
少しの変更でもプレイしていて設定を見ないでも当てられる位違いが出るので、この辺りはトレーニングモードで動かしながら調整して自分の中での黄金比を見付けて欲しい。
レバーに付いてくるオートシェイプが微笑ましい手作り感のある公式マニュアル。
筆者は最速反応が求められる方向と方向は最速の1番設定、方向と方向は最速から一段階落として2番設定にしている。
強度等品質
ここからはレバーを分解してチェックした製品の強度やメンテナンス性といった点を記載していきたいと思う。
反発入力
位置調整機能付きという事で、最初筆者は最速入力設定時に反発で意図しない誤入力が起きる事を心配していた。
構造上反発入力は起こらない
結論から言うと、構造上反発による誤入力はまず起きない。
静音性確保の為に通常のレバースイッチに搭載されているバネ棒は廃止されていて、レバーが戻る際の反発力も弱くクリック感は無い。
実際筆者も全方向最速入力設定にしてトレーニングモードで一通りキャラクターを動かしてみたが、反発による誤入力は一切起こらなかった。
勿論個体差はあると思うが、反発で意図しない誤入力は基本起きないと思っておいて問題無いだろう。
メンテナンス性
三和電子の静音レバーといえば、スイッチが非常にデリケートでガイドの交換に神経を使うのが常だったのだが、流石にこの点は改善されている・スイッチ自体がシンプルな設計なので壊れにくくなっている。
国産メーカーの安心感
基本的にスイッチレベルのレバーカスタマイズは社外品の海外パーツを使う事が大半で、大体そういったパーツは供給が安定しない。製造元自体が潰れてしまっていたり、製造元は無事でも生産がすぐに終了してしまうという事もザラにある。
JLX-TPML-8YT-SKに関してはスイッチも三和電子製なので、パーツが壊れたり交換が必要になった場合でも安心というのは大きな強みだと思う。
総括
購入して調整・使用してみた率直な感想は、画期的で素晴らしいレバーという一言。
上記の通りプレイするゲームや使用キャラクター・自分の技量を天秤にかけて各方向調整を行ったのだが、元々直感的なのもあって少し調整しても違いが理解できた。
使用してみた感じ鉄拳やバーチャファイターといった3D格闘ゲームに適正があるレバーだが、ストリートファイター6でも(特にモダン入力タイプでは)強みは出し易いレバーだろう。