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筆者が良く配信を視聴している冷血さんがこの間とあるレバーをお勧めされており、筆者も気になったので即注文した(そのレバーの使用レビューも別記事でアップ予定)のだが、注文してから「買ったレバーを交換出来るアケコンが無い」という致命的な点に気が付いた。

そこで今回パッド移行後久しぶりにHORIのファイティングスティックαを購入・記事用にストリートファイター6をプレイしてメモをまとめてきたので、今回はこのファイティングスティックαの使用レビュー記事を書きたいと思う。

なお上記冷血さんのTwitchチャンネルは、平日毎朝8:15分から12:15分まで定時配信(主にストリートファイター6)を行われているので、気になった人はこちらもチェックして欲しい。

本体設計

まずは本体の設計(デザイン面)からレビューしていきたいと思うが、ファイティングスティックαは前身のリアルアーケードシリーズで培われたHORIのノウハウを感じ取る事が出来る設計になっている。

操作ボタン設計

本体設計で筆者が感心したのはPSボタンやR3・L3等の補助ボタンの配置設計で、ファイティングスティックαではこういったボタンや使用本体の切り替えスイッチ等は上部にまとめられている。

補助ボタンは特にトレーニングモードで多用するので、一箇所にまとめられているのは使い易い。

ファイティングスティックαの前身であるリアルアーケードシリーズだと、R3やL3ボタンがサイド配置されていて視認性が悪い・慣れるまでトレーニングモードでお手本の再生やポジションリセットといったショートカット操作を行う際にストレスを感じていた。

ファイティングスティックでは各ボタンが本体上部に綺麗にまとめられているので、直感的に操作がし易くストレスが無い。

錆に強い設計

アーケードコントローラーは基本的に強度面の理由から天板は金属である事が多いのだが、ファイティングスティックαは金属が使われている部分がコントロールパネルの内側の最小限の部分程度となっている。

その金属部分も使用中は後述するアクリル天板とデザインシートの下になるので、この部分が経年劣化で錆びてしまう事は余程の事をしない限りまず無い。

強度を保ったままこういった設計になっているのは実はかなり大きく、従来のアーケードコントローラーはかなり錆びやすい・メンテナンスが長く使おうと思うと大変かつ避けて通れなかった。

以下は筆者が昔使用していたHORIのリアルアーケードプロHAYABUSAだが、金属天板に直にシートが貼られているという設計だった為、目地から手汗が入り込んでシート下の天板を錆びさせる設計的問題があった。

手を置く部分の下の錆が広がってシートを押し上げているのがわかるだろうか。

この様になってしまうとメンテナスする為には天板シートを剥ぎ取って錆を落としてから再塗装するなりデザイン天板を重ねて使用するしかなくなってしまう。

筆者は薬品で錆を分解(紫色の部分が分解された錆)させて落としている。

更に言えば、昔のリアルアーケードシリーズは金属天板の周りがビス止めされており、このビスが錆びるという問題もあった。

これは錆に強いステンレス製のビスに変更するのが基本対策となっていたのだが、このビスの生産数が少なく入手にかなり苦労した思い出がある。

こういった錆対策がしっかりしているのがファイティングスティックαの設計で筆者が最も感動した点だ。

天板カスタマイズのし易さ

後述するメンテナンス性の項目と前後するが、ファイティングスティックαは天板がアクリルパネルを展開・中にデザインシートを挟み込む事で簡単に天板デザインをオリジナルのものに変更出来る。

かつては天板と同一サイズにデザインを印刷したシートをカットし、更に同じサイズで保護天板となるアクリル板をカットしてビス止めする等の工作が必要でカスタマイズの敷居は高かった。

ファイティングスティックαではテンプレートもHORIの公式サイトで配布されているので、これを雛形にオリジナル天板デザインを作成・A3サイズのシートに印刷(コンビニのプリントサービスを利用すると簡単)して切り抜くだけで簡単にオリジナル天板を作る事が出来る。

操作性

かつてHORI製のスティックのレバーやボタンは三和電子やセイミツといったゲームセンターでの筐体パーツシェアを持っているメーカーの物が採用されていた。

当時の商品名であるリアルアーケードからも見て取れる通り、ゲームセンター(アーケード)環境を自宅に構築する事が製品コンセプトとされており、これは当時家庭用で練習してゲームセンターで対戦をするというのが格闘ゲームにおいて一般的だったという時代背景を考慮してのものだ。

ただ、現在はご存知の通り対戦における主戦場は家庭用のネット対戦となっており、ゲームセンターでの対戦文化そのものが(一部例外はあるが)廃れてしまった。

その結果、アーケード筐体に寄せる必要が無くなった事で各社様々な設計思想を持ったデバイスを発売するに至っており、そもそもアーケード筐体でプレイした事自体が無いプレイヤーも増えてきている。

そういった現状を鑑みてか、ファイティングスティックαもレバー・ボタン共にHAYABUSAという自社製パーツが使われている。

HAYABUSAレバー

最大の特徴は軸受部分のハウジングカムの構造上の抵抗を減らし、滑らかな入力が出来るようにしている点だ。

抵抗が少ない=摩擦も少ないという事で耐久力も従来のレバーに比べて高くなっている。

滑らかにレバーを操作出来、余計な入力の無い正確なコマンド入力が出来る。

レバー自体の柔らかさは柔らかすぎないバランス型といった所で、直感的に自分が何処に入力しているのか把握し易い適度なクリック感もある。

ストリートファイター6では、+パンチや+パンチの様なレバー入れ通常技が多く、そこから別の通常技やドライブラッシュを入れてのコンボというのも多い。

ルークのコンボトライアル上級3のコンボは上記の代名詞的なコンボといえるだろう。

意外と繊細なレバー入力を求められる・そこから必殺技でコンボをしめる事が多いのだが、ファイティングスティックαに搭載されているHAYABUSAレバーは入力が非常に滑らかに気持ちよく動くのもあって操作時のストレスが全く無かった。

上記の通り筆者はファイティングスティックαをレバー交換用に購入したのだが、標準のHAYABUSAレバーのままでも非常に扱いやすく全く問題が無かったので、これはこれで困ってしまった。

HAYABUSAボタン

ボタンの方は低ストローク化・角を丸めた擦り押しのし易さが特徴となっている。

ストロークに関してはこれ以上低ストローク化してしまうと感度が良すぎて暴発が多くなってしまうギリギリの調整だと思った。

低ストロークの高感度ボタンといえばQanba社のグラビティボタンが有名だが、こちらは感度が良過ぎるのもあって好みが真っ二つに割れている。

HAYABUSAボタンはグラビティ程ピーキーにせず低ストローク化しており、ボタン本体は角が斜めになっているので複数ボタンを使ったずらし押し連打(弱→中→強→弱→中等)もし易い。

かつてはHORIボタンは論外・購入後にすぐに三和電子なりセイミツ(特に三和電子が人気)なりのボタンに全交換が常だったのだが、このHAYABUSAボタンは標準でも全く問題ない良いボタンだと思う。

メンテナンス性

ファイティングスティックαに限らず、アーケードコントローラーはかなり酷使されるのでメンテナンス性は重要になるのだが、この点に関してはファイティングスティックαは満点に近い非常に良く出来た設計になっている。

レバー・ボタンの交換

大体のアーケードコントローラーは裏蓋のビスを外して蓋を開いて裏側から交換を行うのだが、ファイティングスティックαは天板がスライドスイッチで簡単に展開出来る設計になっている。

天板裏には各ボタンの色分けされた端子の一覧表も掲載されている。

ファイティングスティックαの前身のリアルアーケードシリーズを古くから触ってきた身としてはこの設計の進化は非常に感慨深い。

上で満点に近いという言い方をしているが、減点ポイントはレバー下のスペースが狭い関係で交換レバーが限定されてしまうという点で、具体的に言うと筆者が過去にレビューしたノビレバー(LSX-NOBI-01-STD)等のセイミツレバーは、接続用のステーを変更するか底板パーツを削るかしなければ取り付ける事が出来ない設計となっている点だ。

ノビレバーが顕著だが、意外とレバー毎にベースの高さには違いがある。

上記拡張性は減点しているが、後発だけあってこれまで煩わしかった点はしっかり改善されていると思う。

総括

筆者は混乱を避ける為にクラシック操作はアーケードスティック・モダン操作はパッドとデバイスを分けようと思っているが、旧作タイトルやストリートファイター6以外の格闘ゲームはまだまだアーケードスティックを使うので、ファイティングスティックαも長らく愛用しようと思っている。

拡張性に関してはマイナスしているが、そもそも純正レバー・ボタンでも全く問題は感じないのでカスタマイズする必要が無いともいえる。

値段等も含めて総合的にアーケードスティック商品として見ると間違いなくトップクラスの一角(入手のし易さや値段で言えばぶっちぎりのトップ)だと思うので、アーケードスティックを探している人には手放しでお勧めしたい製品だ。