レビュー

SOULVARS(88点)

author:aoto
2022.02.14

タイトル
SOULVARS
ハード
スマートフォン
点数
88点
WEB
ginolabo公式
ダウンロード

概要

SOULVARS(ソウルヴァース)はginolabo(ジーノラボ)制作のRPGゲームアプリで、懐かしいドット絵(ピクセルアート)で描かれた世界観や独自の戦略性のあるデッキビルド型の戦闘システムが特徴だ。

価格は610円の買い切りで、ガチャといった追加課金要素や広告は一切無い。

レベルの概念が存在せず、ギア(装備品)に設定されたソウルビット(行動パーツ)を組み合わせてアーツという必殺技を使用して敵を撃破していくというデッキビルド型のシステムは、従来のRPGには無い戦略性や自由度の高い戦闘を実現している。

面白い点

戦略性の高い戦闘システム

SOULVARSは敵には全て有利・不利属性が設定されているので、プレイヤーは敵の弱点を突ける様に装備品のソウルビットを組み合わせていく必要があるのだが、このシステム自由度と戦略性の高さには独特の面白さと中毒性がある。

例えば守備力が高い主人公のヤクモにヒールのソウルビットを持つ装備を装備させてタンク兼ヒーラーにするといった具合でプレイヤーの思い描く戦略を反映させる事が出来るのだが、こういった思い通りに出来る自由度の高いシステムは純粋に面白い。

行動パーツは全て装備品に依存。これが高い戦略性を生んでいる。

戦闘はテンポも良く、敵がレアアイテムをドロップしたりといったハクスラ要素もあって作業化したりダレにくい設計になっているのも良い点だと思う。

アーツは使用しているとレベルが上っていくのだが、レベルが1上がるだけでもかなり強さに違いが出る絶妙なバランシングも戦闘が作業化し難い理由の1つだろう。

戦闘システムに特化した面白さを持っているだけに、戦闘をつまらなくしたりテンポを損なう要素は極限まで削ぎ落とされて洗練されている。作業をゲームの域にまで昇華させた好例だ。

簡素化だけで終わらない工夫

SOULVARSは戦闘システムに特化した面白さを持っていると述べたが、戦闘以外のRPGではお約束となっているシステムは出来る限り簡素化して設計されている。

スマートフォンに合わせた簡素化はどのタイトルでも行われている事だが、SOULVARSの場合はそういった要素をきちんと工夫してプラスアルファを付加している。

代表的なのが休息システムで、これはホーム画面の「REST」をタップする事で指定した時間だけ休息してHPやSPを回復するという一般的なRPGの宿屋に該当するシステムなのだが、ただの簡素化した宿屋では終わっていない。

隠し時限要素探しをやり始めると親の顔より見る画面。

SOULVARSには特定の時間(明け方や夜中等)しか起こらないイベント・クリア出来ないミッションのような時限要素が豊富に用意されているので、これを探すという楽しみがセットになっているのだ。

上記RESTは一例だが、こういった簡素化の上手さ・無駄を出さない設計・要素にゲーム性を持たせる工夫はゲーム内の随所で見られる。

問題点

SOULVARSの大体の問題点はたった4文字の「説明不足」という一言で説明が付く。

ストーリーが説明不足

面白かった点で述べている通り、SOULVARSは戦闘といったシステム面に面白さがある・ここに全振りしたゲームと言えるのでストーリー自体はあまり重要ではない。そもそも登場NPCも同じような事を繰り返すのみで大したストーリーにも関わってこないモブだらけのゲームである。

ただ、それにしても説明不足だと感じてしまう。

唐突になんの前フリもなく物語が始まり、知らない組織の人間が仲間になったり知らない組織の知らない幹部と戦闘したりするものだから、思わず某芸人の様に「ちょっと待てぃ」と深夜プレイ中に気持ちの悪い独り言をつぶやいてしまった。

会話の文字サイズは近視・乱視・老眼のフルコンボ中年にはキツい。

スマートフォン縦持ちで遊ばせるゲームかつ世界観的に文字は全てビットマップフォントという特性上会話シーンが盛り込み難いというのはわかるが、これでは事前にWEB等で基本的なストーリーや人物の相関図を頭に入れている事が前提の不親切な設計と言わざるを得ない。

説明不足な点をもう1つ挙げると、ストーリー中盤で遊べる様になるミニゲームを挙げる事が出来る。このミニゲームもいきなり何の説明もなくプレイ出来る様になって何の説明もなくゲームが始まる。

敵の攻撃を弾けば良いと気付いたのは18回目のトライの時。

更にこのミニゲームは敵に倒されるとゲームオーバー扱いになるのでタイトルに戻されてしまう。直前に戻れるCONTINUE機能があるとはいえこれは流石にもう少しやり方があるだろうと思う。

最低でもミニゲームのルール説明は欲しい。

UIデザインが見難い

スマートフォン縦持ち・ピクセルアートの世界観なのでしょうがないとも思うが、戦闘画面といった操作画面の操作UIは所々アイコン化されてデザインと一体化している為に視認性が悪い。

SKINカスタム全盛時代のWinampの様なUI

ACTIONといったよく使うボタンはきちんと文字も入れられている・形状もボタンの様になっているので使い易いが、画面右上の逃走ボタンは非常口アイコンのみで視認性が悪い。一応ボタンとしてタップ出来る箇所には赤い印が入っているのだが、他と統一感を持たせてここにも「ESCAPE」といった文言はあっても良いと思う。

これに気付かず最初このゲームは戦闘中逃げられないのかと思ったし、FLOWスキルの存在に気付いたのはラストバトル中の誤タップ時である。

思う事

ここからは全難易度クリアして思った事を何点か記載していこうと思う。

EASY難易度は不要

SOULVARSは上記の通り戦略性が高く、それに比例して難易度も高くなっている。

その救済でゲーム開始時にEASYからHARDまでの3つの難易度から難易度を選択する事が出来るのだが、この内EASYはこのゲームの戦略性とバランスの良さを両立したゲーム性をぶち壊して只の作業にしてしまう。

確かに簡単にはなるが同時に良さ(高難易度を工夫して打開していく面白さ)も殺してしまうので、このゲームにEASYモードは不要だと思う。

ソウルドライバーのバランス

SOULVARSにはソウルドライバーという装備して戦闘すると熟練度が溜まって様々なアーツを習得出来たり永続的な能力アップの恩恵を受ける事が出来るシステムがあり、実質この熟練度が一般的なRPGのレベルに相当する。

このソウルドライバーは種類が豊富にある(隠しもあり)ので、本来はパーティーメンバー毎に要所で装備変更していくという格好になるのだろうが、難易度HARDにおいてもゲームクリアまで1つのソウルドライバー(各メンバーの初期装備)で全く問題無くクリア出来てしまう。

寧ろ難易度HARDにおいては別ソウルドライバーを育成する手間を考えると育っている既存ソウルドライバーを使う方が攻略がし易いので、育成面も含めてこの辺りのバランスはもう少し見直しても良いと思う。

総括

価格も610円と安価・システム的にかなりやり込む事が出来るゲームなので、どっしり腰を据えてスマートフォンのRPGをプレイしたいという人には是非プレイしてもらいたい。

上記の通り説明不足なので、公式サイト等でストーリーや人物相関図を頭に入れておくとストーリーも楽しめるだろう。

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