プレイレビュー
Sky星を紡ぐ子どもたち(87点)

author:aoto
2023.03.14

- タイトル
- Sky星を紡ぐ子どもたち
- ハード
- スマートフォン、PS4、Switch
- 点数
- 87点
- WEB
- thatgamecompany公式
概要
かつて栄華を誇った空の王国。そこへ突如現れた暗黒により、落ちた星たちは輝きを失い雲に身を寄せました。
あなたは星を紡ぐ子どもとして、星々を星座の元に届ける旅を通じこの滅びの地に希望を取り戻していくこととなるでしょう。
Skyの魅惑的な世界観を体験しましょう。美しいアニメーションからなる王国では、壮大な冒険があなたとお友達を待っています。精霊とストーリーに導かれ、7つのエリアの平穏な世界で人々への思いやり、時代を超える不思議、心に宿った灯をもとに、星と精霊を家まで届けましょう。
この平和で広大なMMORPGで、プレイヤーと出会い、チームを組んでSkyの秘密を紐解きましょう。仲間と一緒にプレイすれば、Skyの世界中に広がる不思議に出会うことができます。仲間と闇のエリアへ旅し、精霊を助け、古代の財宝を見つけ出しましょう。関わる全てのものの心を温め、光をもたらしましょう。広がり続けるオープンワールドと季節のイベントが繰り広げられる果てしない広大な世界。その終わることのない冒険へ、世界中の仲間と一緒に出発しましょう。
※以上、公式アプリ説明文より引用
面白い点
素晴らしい映像表現とサウンド
Skyというタイトルの通り空中に浮かぶ王国・島が舞台になっている本作だが、幻想的な世界観と臨場感のあるサウンドはプレイ開始してすぐに引き込まれるだけの魅力がある。

幻想的で美しいフィールドと没入感をより高めるサウンド。
TIPS的な説明以外は言葉を徹底的に廃し、ジェスチャー(エモート)による感情表現のみに限定したゲームデザインも正解で、このゲームが持つ没入感の妨げにならない。
このゲームは環境を問わず是非ヘッドフォンでプレイして欲しい。
他プレイヤーとの絶妙な距離感
Skyは公式説明にもある通り、分類的にはMMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)となっている。
一般的なMMORPGでは他プレイヤーとテキスト・ボイスチャットでコミュニケーションを取りながら敵を倒す等クエストをこなしていくのだが、Skyは上記の通りチャットといった言葉を用いたコミュニケーションは徹底的に廃されてジェスチャーによるコミュニケーションしか取ることが出来ない。

言葉は画面下の操作説明といったTIPS以外極限まで廃されている。
当然フィールドに居る他プレイヤーへお辞儀で挨拶をしたりといったコミュニケーションが中心となるのだが、これはゲームデザイン的にも良く考えられた仕様だと思う。
世界観を壊したくない・没入感を妨げたくないというのがまずあって、それをクリアした上で全員が共通ジェスチャーでコミュニケーションを取る=英語がわからないといった言葉の壁も取り払える。
チャット自体が苦手というプレイヤーも存在するだろうし、そもそもスマートフォンでプレイしているプレイヤーはデバイス的に文字打ちがしにくいので、そういったプレイヤーにも優しいシステムだ。
問題点
説明不足
世界観を考えたら仕方が無い事かもしれないし、沢山お知らせやTIPSが出まくるというのもどうかと思うが、それを考慮してもSkyの説明は少ない。
操作方法の説明といったチュートリアルも最小限、フィールドギミックの説明やクエストの目的や達成条件といった部分の説明も少なく、ものによっては皆無である。
例えばある序盤フィールドでいきなり登場する敵は、こちらを発見次第襲ってくる上に一発のダメージも大きい。主人公は攻撃をする事が出来ないので逃げるしか無いのだが、それまで自由に動き回れていたものがいきなり何の説明もなく攻撃されるのには驚いてしまう。
更にこれは厳密には説明不足ではないのだが、上記の敵はこちらがイベント中でもお構いなしに襲ってくるので、イベントを消化中(操作不能)に敵に発見されてしまうと為す術がなく攻撃されてしまうというのもストレスを感じる部分だ。
ナビゲーションが不親切
Skyは沢山の島(空中王国)を行き来しながら探索をしていくというゲームながら、こういったゲームには必須の常時表示されるミニマップや方角表示的なものは一切表示されない。

UIがシンプルで直感的な操作はし易いが、方向音痴の人は探索に苦労するだろう。
一応操作している主人公をタップする事で進むべき方向は教えてくれるが、ナビゲーションが丁寧な昨今のゲームに慣れている人は最初何をすれば良いのかわからず苦労するだろう。
情報発信も活発とは言い難い
イベント等の告知・お知らせも基本的に公式SNSでのみの発信の為、タイトルからリンクされているTwitterやDiscord等を別途フォローしてチェックする必要がある。
普通告知ウィンドウを最初に出す等してゲーム内でも告知をするのだが、Skyはプレイヤー側が自らSNSへ情報をチェックしに行くしか情報を得る手段が無い。
公式の情報発信に限って言えば筆者が知る限り最低レベルだと思う。
思う事
ここからはいつものようにプレイしていて思った事をつらつらと書いていきたいと思う。
クリアまではチュートリアル
今回のレビューを読んでSkyが気になってプレイを開始した人は是非エンディングまでプレイしてその先へ進んで欲しい。
このゲームはクリアしてからが本番というのもあるが、最終エリアからのエンディングのシナリオ的な流れが非常に感動的というのが一番の理由だ。
ネタバレになるので多くは語らないが、エンディングまでは丸々チュートリアル・オープニングイベントだと思ってプレイして欲しい。
謎の没入感のあるゲーム
やる事は非常にシンプル(精霊を復活させる等)・ゲーム中殆どの時間は移動(飛行)しているだけ・イベントシーンは全てジェスチャーのサイレント人形劇と文章で書くと退屈なイメージを持たれると思うのだが、Skyは筆者が3D酔いしているにもかかわらず数時間ぶっ続けで遊んだ謎の没入感がある。

単純作業の繰り返しだが不思議と飽きない。
何故飽きずに没頭出来るのかを考えてみたのだが、このゲームはシナリオの進行のさせ方が秀逸でゲーム的なカタルシスがある。
例えば最初主人公の羽(ケープ)はパワーが低いので、羽というよりもグライダーの様な使い方にどうしてもなってしまう。走ったりジャンプしている時間の方が飛んでいる時間よりも長いし、パワーが回復出来ない場所では長時間飛行する事も出来ない。
これが終盤になると自由に気持ち良く飛び回る事が出来る様になる。序盤の不自由さがあるので終盤の快適さや爽快感がより感じられる訳だ。
上記の最終エリアからエンディングまでのくだりもこれと同様で、陰鬱な最終エリアがあるからこそエンディングがより感動的になってくる。
シンプルとエンプティを履き違えているゲームが多い中、この様にシンプルな中にもゲーム的なカタルシスがあるのは素晴らしい。
総括
パッと遊べる分飽きるのも早いカジュアルなイメージを持たれるゲームだが、上記の通りクリア後はかなりやり込める作りになっている。何年も遊び続けているというプレイヤーも珍しくない。
上記レビューの通り世界観や雰囲気が非常に良いゲームなので、目的も無く暇つぶしにちょっと起動して飛び回るというだけでも楽しい。
プレイする際は冒頭で記載した通り環境問わずヘッドフォンを強く推奨する。