レビュー
Magic Spellslingers(87点)

author:aoto
2022.09.04

- タイトル
- Magic Spellslingers
- ハード
- PC,スマートフォン
- 点数
- 87点
※PC版はSteamでダウンロード可能
概要
マジック:ザ・ギャザリングの精神を継ぐ「Magic Spellslingers」は、個性豊かなヒーローたちが繰り広げる、ハイテンポな戦略カードバトルです。炎を自在に操れ!クラーケンをしもべとせよ!影から奇襲をかけよ!あなたのプレイスタイルや性格に合ったスペルスリンガーを選びましょう。(公式アプリ概要文より引用)
面白い点
綺麗に簡略化されたハイテンポなゲームデザイン
トレーディングカードゲーム(以下TCG)において最も重要なのは戦闘のテンポだと筆者は思うが、Magic Spellslingers(以下MSS)はオリジナルのマジックザギャザリング(以下MTG)のテイストを残しつつ簡略化・テンポアップに成功している。

テンポを妨げる要素は排除され、直感的かつシンプルでありながら奥深いゲームデザイン。
MSSは場にユニットを召喚して攻撃したりスキルを使用して相手プレイヤーのライフを先に0にした方が勝ちというシンプルなルールだが、本家MTGにあった「土地」といった外部システムは簡略化・マナの管理面も最近流行した競合他社のカードゲームに寄せた形になっている。
ユニットを召喚して相手プレイヤーや場のユニットを攻撃(ブロック)していくという基本的な流れ・面白さを突き詰めて簡略化されているので非常にとっつき易い。
感じ的にはHearthstoneをより簡略化してテンポアップしたものと考えるとわかり易いだろう。
MTGのゲームでは他にMTGアリーナもあるが、MSSは単純にこの入門編・よりカジュアルな位置付けでは終わっていない。簡略化されシンプルながら奥の深さやMTGのテイストはしっかり残っており、MSSにはMSSの面白さ(寧ろテンポが良い分、中毒性はこちらが上)もしっかりある。
課金面が良心的
TCGといえば課金してカードパックを購入してデッキを作っていく特性上、カードを集める為には重課金が必須になったり課金を促す広告が鬱陶しいイメージがあると思う。
MSSにおいてもカードはカードパックを課金アイテムで購入してデッキを拡充していくのだが、カードパックは毎日時間で追加されていく課題をクリア・課題で手に入れたゴールドや課金アイテムで購入する事も可能だ。

課題は時間で追加され、数も豊富に用意されている。
チームを組む事でチームメンバーからカード素材を募ってカードを作る事も出来るので、課金が前提となっているTCGにおいて無課金でも比較的楽にデッキ構築を楽しむ事が出来る。
筆者が見た感じスタートダッシュで課金する場合は大体5,000円程度の課金で十分。他TCGの用に不要カードを分解・素材生成をする事は出来ない(余剰カードであれば可能)が、課金システムに関しては比較的良心的といえるだろう。
問題点
爽快感を出す為か、全体的にバランシングが大味
スキルやカード効果も本家MTGより簡略化されてわかり易くなっているのは良いのだが、簡略化してシンプルにしつつ爽快感を出したり一発逆転要素を持たせたい為かバランシングが大味になっている。
コスト関係に関しては特に見直しが必要な部分が何点かあり、スペルスリンガーの固有カードにおいてもバランスが良いとは言い難い。
まだ新しいゲームなのでカード種類も少ない=似た様な方向性のデッキになりがちなのも上記のバランシングの大味さに拍車をかけている。
余計な演出
プレイする環境にもよるが、少し前のスマートフォン等でプレイするとレスポンスの悪さや動作の遅さが目につく。
もっさり感に拍車をかけているのが各種3Dアニメーション演出で、勝利時に3Dアニメーションの勝利ポーズが流れたり、対戦中も相手と自分のスペルスリンガーの顔が表示されて状況に応じて表情が変わる演出があるが、こんなものをつけるのであればもう少し快適に動く様に設計すべきだと思う。

勝利時の相手破壊アニメーションとは別に勝利アニメーションまで入る。
ハイテンポを謳っているのだから動作は軽快であって然るべきで、無意味な演出は極力排除してテンポを優先する方が良いだろう。
思う事
ここからはプレイしていて思った事をつらつらと記載していこうと思う。
ボイスはミュート推奨
MSSには観客の声援や実況ナレーション(英語)、各スペルスリンガーのボイス(英語)があるが、これが非常に耳障りで不快だ。

キンキンとした声もあるので、最初にミュートしておくことを推奨する。
レスポンスの悪い低スペック端末でプレイしていると更に不快感からイライラすると思うので、最初に忘れずにミュートしておく事をお勧めする。
エモーション関係
上記ボイス同様エモーション関係も表示OFFの機能が欲しい。
エモーションやスタンプは煽りにしか使われないものなので鬱陶しいというのもあるが、MSSはエモートの台詞が表示されない不具合(コメントを発信しないと見る事が出来ない)もある。

吹き出しの中に何も表示されていないのがわかるだろうか。
エモーションOFFに出来る設定項目追加と同時にこの不具合も修正して欲しい。
持ち時間
MSSに限らずTCGには自ターンに持ち時間をフルに使って時間切れを繰り返す、所謂遅延プレイを嫌がらせで行うプレイヤーというのが存在する。
大体はそのペナルティとして一度制限時間オーバーしたら以降は持ち時間が少なくなるといった仕様になっているのだが、MSSにはそういった仕様がなく延々と遅延プレイを行う事が出来る。
MSSは毎ターンの持ち時間自体が長いのもあるが、一度時間切れになったら以降持ち時間が半減していく・数回時間切れになったら即敗北位で丁度良いと思う。
欲を言えば併せてブラックリスト機能も実装して欲しい。
総括
筆者のTwitchチャンネルで記事用のメモを取りながら配信を行った際、面白くて夜中に8時間も配信をしてしまった位には中毒性が高い。
上記の通り簡略化したMTGであるため、大味なのもあってオリジナル版をやり込んでいる人には物足りなさを感じる人も居ると思うが、本作は見た感じ新規層の開拓やオリジナル版MTG・MTGアリーナを避けていた人に対するアプローチ的な意図が見えるので、そういった人に向けたタイトルだ。
やり込んでいる人はMTGアリーナを、カジュアルに楽しみたい人はMSSをという棲み分けに思える。
後は昔MTGをやり込んでいたけれど、今は昔程元気は無い・もっとカジュアルに楽しみたい(筆者もそのクチ)という人にも合うだろう。
基本無料ですぐに対戦を楽しめるので、今回のレビューで気になった人はダウンロードしてプレイしてもらいたい。
※PC版はSteamでダウンロード可能