プレイレビュー
ライブアライブ(86点)

author:aoto
2022.07.24

- タイトル
- LIVEALIVE
- ハード
- Switch
- 点数
- 86点
- WEB
- SQUARE ENIX公式
概要
1994年に発売されたRPG、LIVEALIVE(以下:本作)をドット絵と3DCGの融合技術であるHD-2Dの映像表現を用いてNintendo Switchでリメイク。合計8人の主人公からなるオムニバス形式のストーリーをプレイする事が出来る。
面白い点
遊びの幅が広いゲームデザイン
本作はシナリオを楽しみながら普通にクリアするだけならば然程難易度は高くなく、イベントスキップを使わなかったとしても1日程度で8人のシナリオはクリア出来る。
ただ、プレイ内容に条件付けした所謂縛りプレイやアイテムを収集するといったやりこみプレイをやり始めると途端に難易度が上がるという作りになっているので、クリア後はタイムアタックや縛りプレイといったやり込みプレイでも楽しめる・それが前提になっている設計だ。

シナリオの1つ幕末編は特にやり込み要素が多く遊びの幅が広い。
例えばシナリオの1つ幕末編では、登場する人間を1人も斬らずにシナリオをクリアする0人斬り・全ての人間を斬る100人斬りといった遊び方も可能で、こういった遊びの幅の広さや自由度の高さは同社のロマンシングサガシリーズのフリーシナリオを彷彿とさせる。
提供されたもので遊ぶタイプの人は面白さを感じにくいが、自分で遊びを考えられるパイオニア精神を持っている人には本作はかなりお勧め出来るタイトルだ。
そのまま綺麗にパワーアップした演出
元々シナリオや演出には定評のあったオリジナル版の演出を、らしさを残したまま今の技術で綺麗にパワーアップさせている。

HD-2Dで立体的な表現が出来る様になった事で演出の迫力が増した。
声優を起用したというのも大きく、オリジナル版の同じシーンでも段違いに迫力がある。
演出に関しては当時は容量的な理由から説明不足にせざるを得なかったであろうシーンに補填が入っていたり、逆に新しく本作から入った要素を上手く演出に絡めている部分もある。
筆者がプレイ中に「これは」と思った演出は、本作で新しく入ったローディング画面のTIPSを使ったSF編の演出だ。

説明TIPS文章がシナリオ終盤はこの様に切り替わる。
通常ロード時のTIPS画面はシステムの説明といった文章が表示されるのだが、SF編のシナリオ終盤ではいきなりこの様な脅迫めいたメッセージになる。地味だがSF編の雰囲気ともマッチした効果的な演出だと関心した。
28年ぶりのバランス調整
オリジナル版はキャラクター毎の強弱のバランスが悪かったり、オムニバス形式という特性上シナリオ毎の難易度の差もかなりあった。

オリジナル版では本当に森部のじーさんの奥義だけで最後まで何とかなってしまっていた。
キャラクター間のバランスに関してはスキルの性能を大きく変更する等して別キャラの様に強化(弱体化)する事はせず、弱いとされてきた・用途の乏しかったスキルの性能を底上げするという調整になっており、特にローキックしか縋るものがなかったアキラはこの調整の恩恵を受けている。

筆者の様にアキラが好きだった人は28年待っていた甲斐のある歓喜の瞬間だろう。
シナリオ毎の難易度に関しても一部特定の敵がAI的に弱体化していたり、逆にオリジナル版では弱かった敵が強化されているといったバランス調整が入っているのだが、別ゲーレベルで調整は行わずにオリジナル版の”らしさ”は残した調整になっている。
問題点
追加要素の少なさ
リメイクとしてはかなり出来が良い作品なのだが、オリジナル版を壊さないように綺麗にリメイクした故にアイテムやシナリオやボスといった追加要素が他のリメイクRPGと比べると圧倒的に少ない。
一部オリジナルから大幅に展開が変わっている部分はあるものの、追加アイテムも数える程しか無く存在も地味である。

オリジナルの雰囲気は大事だが、装備等をもう少し追加して欲しかった感は否めない。
上記のバランス調整やグラフィックが綺麗になった事で筆者の様なオリジナル版プレイユーザーも新鮮な気持ちで旧作と比較しながら最後まで楽しめたが、純粋な内容(ボリューム)だけで考えると税込7,480円という価格は正直高いように思える。
思う事
ここからはプレイしていて思った事をつらつらと記載していこうと思う。
オートセーブの扱い
本作は手動セーブとは別に常時裏側でオートセーブを行っているファイルがあるが、これがロード時に一番上に同じデザインで表示されるのでセーブデータ1と勘違いしてロードし易い。

ロード画面で間違える事が多く、最初はストレスを感じた。
問題点にあげる程ではないが、オートセーブファイルだけ独立して上部にスペースをあけて表示したりといった差別化はあった方が良かったと思う。
当時を感じて懐かしくなった
28年前のリメイクという事で当時を感じられるネタが幾つもあるのが個人的に楽しかった。
近未来編のちびっこハウスのTVでやっているプロレスがミサワVSムトー(元ネタは三沢光晴と武藤敬司)だったり、元ネタを知っているとニヤニヤ出来る物が幾つも仕込まれている。

当時CMであった「ちゃんとリンスしてくれるシャンプー」というキャッチフレーズが元ネタ。
後は当時の表現がコンプライアンス的にダメになって変更されている箇所を探したりといったリメイク版ならではの遊びも面白い。
言い回しが変更されている箇所はここでは記載しないので、当時プレイしていた人は是非比較しながら探してみて欲しい。
総括
オリジナルの良さを大事にして丁寧に仕上げているというのがプレイして伝わってくる良リメイクだと思う。
当時不便だった点(主にUI周り)も最近のRPGに合わせて変更が加えられて使い易くなっており、演出や表現に関しても当時のドットの良さを活かしながらHD-2Dで美しく描画している。

散々周回してマップを把握していたダンジョンも、綺麗になって視点が変わったので最初迷ってしまった。
上記の通り人によっては通常プレイ時のボリュームの無さが気になるとは思うが、遊びの幅は広いので制限プレイやリアルタイムアタックといった周回プレイをやってみるというのも面白いと思う。