プレイレビュー
崩壊スターレイル(88点)

author:aoto
2023.06.08

- タイトル
- 崩壊スターレイル
- ハード
- スマートフォン、PC、PS
- 点数
- 88点
- WEB
- HoYoverse公式
概要
『崩壊:スターレイル』はHoYoverseが贈る最新作。スペースファンタジーRPGとなる本作は、「星穹列車」に乗ったプレイヤーが宇宙に広がる未知の世界を体験し、冒険とスリルに満ちた旅をすることになる。
数多の世界を渡り、新たな仲間と出会う冒険——時には、懐かしい顔ぶれと再会することもある。仲間たちと共に「星核」がもたらす災厄を乗り越え、その影に潜む謎を解き明かそう。(以上、公式アプリ説明文より引用)
面白い点
ゲーム制作の上手さ
崩壊スターレイルをプレイしていて感じたのが、そのゲーム制作の上手さだ。
具体的にいえばアプリ向けソーシャルゲームとしての落とし込み方の上手さで、コンシューマーハードのPRGを綺麗にスマートフォン向けソーシャルゲームに落とし込んでいるという印象を持った。
国産ソーシャルゲームにありがちな陳腐であくびが出る紙芝居を演出だのシナリオだのと謳う事も無く、美麗な3Dモデルが喋ってストーリーを演出する様はコンシューマーハードの大作RPGをプレイしているかの様な没入感がある。

広大なフィールド、数多くのやり込み要素等コンシューマーハードのRPGと比べても大差ない。
実は崩壊スターレイルをダウンロード中に同日リリースされた某大手メーカーの国産ソーシャルゲームもダウンロードしてプレイしてみたのだが、崩壊スターレイルとの差に愕然として10分程度でアンインストールしてしまった。
過去の栄光に縋りついた薄ら寒いウケ狙いの紙芝居に、ゲーム性の薄い戦闘システムとまるで褒める所が無い。
当然レビューもしないしする必要も無いが、あのゲームはある種ゲーム性を削ぎ落として利益を追求してきた国産ソーシャルゲームの成れの果てといえる良い比較対象にはなった。
あのクオリティで崩壊スターレイルに喧嘩を売った(同日リリース)度胸は買うが、正直今のままではどう逆立ちしても国産メーカーはmiHoYo(HoYoverse)の様な中国メーカーに勝てないだろう。
それ位崩壊スターレイルのゲームとしての完成度は高いし圧倒的といえる。
戦闘システムの戦略性
ハード問わずRPGにおいて重要な部分というのは敵との戦闘なのだが、この部分も崩壊スターレイルはよく出来ている。
基本的にソーシャルゲームの戦闘といえば、特定の適正の高いキャラクターや周回性の高いキャラクターを持っている事が前提の持ち物検査や、ガチャ限定の高レアリティキャラクターのパワーでゴリ押しというのがお決まりとなっている。
ゲームデザインの大前提として、ソーシャルゲームのRPGは誰でも強くなれなければならない(技術介入要素が無い)し、デバイス的な面から操作やシステムが複雑であってはならないので、その結果上記の様な所謂ペイトゥウィンゲームが主流になってしまっている現状がある。
当然そうなると戦闘は作業色が強く面白くないものになってしまうのだが、崩壊スターレイルは周回性やシステムの簡略化をしつつもゲームとしての戦略性を残している。
特にそれが出ているのがシナリオのボス戦とローグライク型の探索クエストの模擬宇宙の2つで、その中でも模擬宇宙の最終エリアのボス戦は戦略性が高い。

考えた戦略がハマって格上ボスを完封・圧倒した時の爽快感はたまらない。
エリア進行と共に得られるバフ効果を組み合わせ、パーティー構築も考慮した戦略を立てつつラストの強力なボスを撃破するという一連の流れはシンプルに面白く、圧倒的不利な状況・普通なら負ける様な状況からバフ効果の組み合わせの妙で逆転勝利するのは爽快だ。
シナリオ展開の上手さ
ソーシャルゲームのシナリオといえば、1-1といったクエストクリア毎に紙芝居が始まり、要所で3Dムービーが入ったり紙芝居にボイスがついていたりといったものが一般的だが、崩壊スターレイルは上記の通りこの演出面が非常に凝っている。
これは純粋に3Dムービーの美麗さといった技術的な面もあるのだが、ここで述べているのはメインシナリオの見せ方の上手さだ。
メインシナリオは伏線や起伏が用意されており、その章の最後にそれらが綺麗に回収されて次のシナリオに繋がっていく。
ラストにはシナリオ的な盛り上がりも用意されており、大体はそれに新システムの開放といった要素も組み込まれていて無駄が無い。

ネタバレになるのでモザイクをかけるが、それまでダサいバットだった主人公の武器がボス戦で変更になる展開は胸熱。
特定エリアクリア後に新システムが開放される展開はよくあるのだが、それが自然にシナリオに組み込まれている・ボス戦における戦闘ギミックの対策になるというチュートリアル的な要素を持たせた見せ方はそう無い。
こういった点もシナリオ展開や見せ方の上手さだと感じる。
問題点
スキル演出がスキップ出来ない
細かい点になるのだが、スキル演出がスキップ出来ないのがオート不可のイベント戦では特にストレスに感じてしまう。
倍速モードが搭載されている・スキル演出(アニメーション)自体の長さも配慮されているとは思うが、何度も見ていると流石にストレスを感じるのでタップでスキル演出をスキップさせて欲しい。
キャラクター毎の性能差が大きい
これもソーシャルゲームではよくある話だが、崩壊スターレイルの場合はキャラクター感のバランスや特定キャラクターが強過ぎるといった問題ではなく、システム相性の良し悪しによる性能差が大きい。
具体的に言うと、このゲームは全体攻撃スキルと単体攻撃・複数体ランダム攻撃スキルを持っているキャラクターが存在しており、キャラクターがそれぞれ全体攻撃に特化型や単体攻撃特化型と特化した設計になっている。
ここまででは特に問題無い様に思えるのだが、ここで問題となるのは全体攻撃スキルに特化しているタイプのキャラクターだ。
全体攻撃は単発かつ攻撃力が低めになっているのだが、崩壊スターレイルは弱点を突く事(弱点属性で攻撃する事)の影響がかなり大きく、長期戦となるボス戦は敵が単体かつ耐久力が高く設定されているで、弱点属性による多段攻撃を当てる事が重要となっている。
ここまで書けばもうおわかりだろうが、要は全体攻撃が設計的に冷遇されているのだ。
多数の敵が出てくる雑魚戦でも全体攻撃スキルは火力が出ないので、弱点属性による多段攻撃スキルや単体攻撃スキルで各個撃破していく方が効率がよく、上記理由から単体相手のボス戦でもお荷物と言い切ってしまっていい位活躍出来ない。

逆を言えば、星4排出キャラクターにも星5を食う程強いキャラは多い。セーバルはその代表的な1体。
特に可哀想なのが最高排出レアリティの星5で全体攻撃に特化しているキャラクターで、上記理由から汎用性で星4のキャラクターに遠く及ばない。
崩壊スターレイルのガチャは装備等も排出される所謂闇鍋ガチャかつ星5の排出率はかなり低い(そもそもキャラクター数が少ないのでキャラクターの排出率自体が低い)のだが、唯一引いた星5が該当のキャラクターでした!というのは実は結構笑えない状況だ。
思うこと
ここからはいつものようにプレイしていて思った事をつらつらと書いていきたいと思う。
マンネリ化からの脱却が今後の鍵か
崩壊スターレイルはプレイ初日からハマってハイペースで遊んだのだが、やる事や流れがわかってきてシナリオも実装地点まで終わらせてしまうとゲームがマンネリ化するのもあって一気に飽きてしまう。
キャラクターの追加やコンテンツの拡充・シナリオの追加は勿論だが、デイリークエストといった毎日遊ぶ部分の工夫がもう少しあると大型アップデートまでモチベーションを維持し易いと感じる。
いい意味でソーシャルゲームらしさが無い点は今後も変えないで欲しい
崩壊スターレイルは上記の通りコンシューマーハードのPRGをソーシャルゲームに綺麗に落とし込めているという部分を筆者は最も評価している。
これは演出面だけでなくフレンドシステムにも言える事で、通常一般的なソーシャルゲームは共闘・対戦といったフレンドコンテンツを課金コンテンツに直結させている事が多いのだが、崩壊スターレイルはフレンドとの距離感が絶妙な設計になっている。
フレンドが設定しているキャラクターを自分のパーティーで使うといった事は可能だが、基本的にフレンドのキャラクターは使わなくてもゲームはプレイ出来るし自前のキャラクターだけで困りもしない。
協力が強要されようなコンテンツも無いのでフレンドが0人であったとしても面白さを損なう事は無い。
基本的にユーザーは開発側が想定している程フレンドとの共闘や対戦を望んではいないという事をよくわかった距離設定だと思うし、レイドといった古臭く安直な協力コンテンツを設けたり、協力の押し売りをさせないのも良い点だと思う。
今後もこの路線は変えず、あくまでも1人で遊ぶ事を前提とした設計であって欲しい。
総括
スマートフォンで遊ぶタイプのRPGとしては現行間違いなくトップクラスだと思う。
コンシューマーの大作RPGと比べても全く見劣りせず、ゲームとしての面白さ・映像化も見越しているであろうシナリオの面白さもしっかりあるので、昨今の集金特化の紙芝居ゲーに飽き飽きしている人には特にお勧め出来るタイトルだ。