プレイレビュー

CRIMESIGHT(87点)ゲームプレイレビュー

author:aoto
2022.05.12

タイトル
CRIMESIGHT
ハード
Steam
点数
87点
WEB
KONAMI公式サイト

概要

CRIMESIGHT(クライムサイト)はAI技術の発達により凶悪犯罪の予測が可能となった2075年のロンドンが舞台のオンライン推理ゲームで、プレーヤーはこれから起こる殺人事件を犯罪捜査AIのSherlock(シャーロック)と共に阻止する、もしくは犯罪計画AIのMoriarty(モリアーティ)と共に成就させるかを目指していく。

キラー・ターゲットを含めたユニットをそれぞれのプレイヤーがターン毎に操作していくというシステムという事でチェスや詰将棋の様なボードゲーム要素もあり、マルチプレイでは誰がモリアーティーなのか?どのユニットがキラーでどのユニットがターゲットなのかがシャーロックサイドはわからない。

後はどのユニットを誰が操作したか?というのも例外はあるが基本的に自分が操作したユニット以外はわからないので、人狼ゲームの様にモリアーティーサイドがブラフ(嘘)等でシャーロックサイドを陥れる・捜索を撹乱するという人狼ゲームのような側面もあるゲームだ。

価格はスタンダード版が2,200円・デラックス版が3,300円となっている。

面白い点

非対称正体秘匿系ゲームとして良く出来ている

マルチプレイメインのゲームなので一緒に遊ぶフレンドが居る事が条件になる(システム的に気心知れたフレンドとのフルパーティープレイを推奨)のだが、複雑な要素を上手くゲームに落とし込めている。

エリア内でユニットを動かしながら殺人を行う・防ぐというシンプルなゲーム性。

一見複雑なゲーム性をUIやゲームデザインを工夫してシンプルかつ直感的に遊ばせることに成功しているので、チュートリアルクエストをある程度プレイすればすぐにこのゲームで一番面白い部分であるプレイヤーとの推理・心理戦に突入出来る。

ゲームとして何を残して何を捨てるか?何を作り込んで何を簡略化するか?という設計上の差し引きは流石の一言で、BGMも昔からサウンドに定評のあるKONAMIという事で演出面のクオリティも高い。

総合的に見て非対称正体秘匿系ゲームとして良く出来ているゲームだと思う。

情報格差の付け方の秀逸さ

このゲームはシャーロックサイドとモリアーティーサイドに大きな情報格差が存在する。

モリアーティーサイドはターゲットとなっているユニットを動かす事は出来ないが、シャーロック側と制御が被った場合はモリアーティー側が優先される。ターゲットとキラーもモリアーティーだけは最初からわかっている状態でゲームが始まり、ステージ内に落ちているアイテムも武器や食料別に色分け(何が落ちているか一目でわかる)されている。

制御が被った場合は必ずモリアーティーサイドが優先される。

シャーロックサイドは誰がキラーで誰がターゲットなのかもわからず、ステージ内のアイテムも全て同じ色なので何が落ちているのかわからない。更に救助が来るまで耐えなければならないシャーロックサイドと違い、モリアーティーサイドは殺害の条件(キラーが凶器を入手している・同じ部屋にターゲットとキラーが二人きりの状態)が満たされれば即座に勝ちが確定する。

序盤の情報有利から後半は詰将棋の様になるモリアーティー。

この情報戦における有利の付け方がこのゲームは秀逸で、モリアーティーサイドはこの序盤の情報有利を維持しながらターゲットを移動・殺害に持っていく必要があり、シャーロックサイドはモリアーティー側のヒントや制御の上書きからターゲットとキラーを推理するというこのゲームの本質的な心理戦に無理なく誘導出来ている。

情報的な有利があるので必然的に上記の様な心理戦を開幕1ターン目から開始する必要があり、蛇足的な要素や心理戦を阻害する要素は極限まで省かれたルール設計だ。

問題点

面白いが地味

淡々とユニットを動かして推理しながらゲームを進行していく為、ガス漏れや野犬が入ってくるといったランダムイベント要素はあるものの殺害シーン以外は特に盛り上がりも無く進んでいく。

公式サイトでクライムサイトの配信ガイドラインも記載されているが、実際配信でプレイしてみた感じ、心理戦は面白いがお世辞にも配信向けタイトルとは言えないというのが率直な感想だ。

終始室内でユニットを只管動かしているだけで変化が無く、シャーロックサイドは黙って推理を行う・モリアーティーサイドになった場合は配信画面で自分がモリアーティーという事がバレてしまうので面白さが伝わりにくい。

割とブラフやハッタリをかませるシステムなので、配信をする場合は参加プレイヤーは配信画面を見ないようにして推理やブラフをバンバン言いながらプレイするのが楽しいと感じたし、寧ろそうしなければ画面の変化が地味過ぎて退屈な配信になってしまうだろう。

コミュニケーション用のシステムも充実しているが、配信を行う場合はDiscordで4人喋りながらプレイする事をオススメしたい。

1ゲームが長い

上記と前後するが、このゲームは1ゲームが結構長い。

シャーロック側はキラーやターゲットを看破したとしても救助が来るまで耐えなければならないので、1ゲームがすぐに終わるのはモリアーティーサイドが即凶器を入手して最短でターゲットを殺害した場合のみ。

基本的に序盤にキラーとターゲットを推理しつつ食料を確保して逃げ回る事になるので、ゲームのテンポ自体は良いのだが上記地味さもあって余計1ゲームの長さが気になってしまう。

序盤と終盤に面白さが集約しているゲーム性なので、この中盤の間延び感が演出にメリハリや変化を持たせる等で改善出来ればこのゲームはもっと面白くなると思う。

思う事

ここからはプレイしていて思った事を記載していこうと思う。

細かいルール変更が出来ない

これも上記と前後するが、ゲームルールの設定は必要最低限という感じなのでもう少し細かくホストがルール設定を細かく出来た方が面白いと思う。

野犬やガス漏れの数等設定は最低限

救助までの時間(ターン数)や野犬といった妨害ユニットの詳細なパラメーター設定、マップ数も(これは今後DLCで追加されそうではあるが)多いとは言えないのでもう少し数が欲しい。

マルチプレイが前提のゲーム性なので遊びの幅やルールの幅は広くて然るべきだと思うし、この部分は今後のDLC拡充に期待したい。

マニュアルサイトが欲しい

ゲーム自体は非常に良く構想を練ってルール付けやゲームデザインがされており、実際ゲームとしても面白いのだが、プレイングやテクニックをまとめたマニュアルサイトが欲しいと感じた。

定石が見つけにくく上達が難いゲームなので、公式サイト以外でもマニュアルサイトやPDFの様な文献があるだけでも大分盛り上がり方は違ってくると思う。

総括

上記の通り良く練られた面白い非対称正体秘匿系ゲームだと思う。面白さの軸が何処にあって、その軸をデザインする際に何を捨てて何を拾うか?という事がしっかり考えられている。

覚える事は少なくルールもシンプルだが、考える事が多く奥が深いというゲームとはこうあるべきを体現したゲームデザインなので、こういったゲームが好きな人は是非購入して遊んでみて欲しい。

author:aoto(アオト)
MSXの信長の野望とPC9801のシミュレーション(パワードール)とNEOGEOで育ち、モスバーガーとPORTERとステッドラーを愛する中年。

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